ギフトを検討している方のなかには、せっかくの贈り物は心を込めて選びたいものの、忙しさに追われて、コレ!というものを探すのに困っている…そんな悩みを抱える方も少なくないだろう。
「ギフト・コレクション」シリーズの初回となる本記事では、そんな方々のお悩みにうってつけとも言える、アートに関わる個性豊かなギフトを紹介する。贈る側と贈られる側の、楽しくユーモアのある会話のきっかけになるものを紹介したい。
恵比寿エリアに2つの店舗を構えるショップ「NADiff」にご協力いただき、ギフトにもぴったりな商品を推薦してもらった。前編の「NADiff BAITEN」に続き、フラッグシップショップである「NADiff a/p/a/r/t」にて商品を選定。
「NADiff a/p/a/r/t」は、もともとは洋書の仕入れの先駆け的な店としてスタート。店舗にはアートギャラリーも併設されている。伸びやかな感性を持つアーティストらと関係性を育むことで生まれる、ここでしか買うことができないオリジナルプロダクトにも定評がある。
今回は作品集に限らず、ギフトを贈られる側のライフスタイルにすっと入りこみそうな懐の深いアイテムを、幅広くセレクトいただいた。
Text : Shunpei Narita Photo : BAUM LTD. Edit & Design : BAUM LTD.
Text : Shunpei Narita
Photo : BAUM LTD.
Edit & Design : BAUM LTD.
No.1
今、ここにある時間を大事にする人に
五月女哲平「CLOCK」
「エイリアンズ」などの代表曲で知られる日本のバンド・KIRINJIのジャケットなども手掛ける現代アーティスト、五月女哲平と、プロダクトデザイナーの角田陽太によるコラボレーションで作られた、オリジナルウォールクロック。
単に時間を認識する、という機能に特化すれば俄然デジタル時計が便利だ。また本商品はアートワークが施されているので、針の位置の視認性は決して高いとはいえない。だが、針の動きが示す時間の流れ以上に、自らの感覚のなかに流れている時間、あるいは今、目の前にある時間こそ大事にしたいと思っている人は多いのではないか。そんな方々にうってつけの粋なギフトだ。
自宅で過ごす時間が増えているだけに、こうした時計と共に生活するのも意義深い時代が到来したといえるだろう。
デザインはモノトーンのものと、色味が豊かなものの2種類のデザインから選ぶことができる。プレゼントする人の部屋のインテリアを想像して、似合うタイプを選んでほしい。
No.2
オリジナリティと実用性を兼ねた贈り物
フロシキシキ【NADiff別注】
ビジネスで頻繁に行われる「名刺交換」。リモート会議が増えたため頻度は減ったかもしれないが、だからこそ油断して、「名刺を切らしてしまう問題」にたびたび陥っている人も多いのではないか。打開策として効果的なのが、サブ名刺入れの常備だ。
うっかりさんへのギフトには、こちらの「フロシキシキ」がおすすめ。オランダ生まれのデザイナーSAMIRA BOONが、日本の伝統的なフロシキをヒントに生みだしたもの。もとは一枚のビニールシートながら、折り畳んでビニール同士の強力な粘着力を搭載することで、名刺入れに早変わりした。
中身も透けて見えるからこそ、入れている物も一目瞭然。バッグの収納を整理するのにも便利なはずで、名刺に限らず、小物入れとしても重宝するはず。発色の良いグリーン、ピンクの両カラーリングも気分が上がる。
No.3
寒い冬でも気分が明るくなる彩りを贈る
近藤亜樹『ここにあるしあわせ』
画家の近藤亜樹が故郷・札幌にて描いた50点の作品群が収録されている。絵具の光沢や盛り上がり、たっぷりとした筆の流れ、重なり合う色彩など…。近藤絵画の特徴・魅力が紙面の上で充分に伝わるよう、考え抜かれた印刷もダイナミックだ。
判型も長方形ながら少し正方形にも近く、レコード盤のようなサイズ感。パキッとしたオレンジは見た目にも華やかで、居住空間のどこにでもすっと馴染みそうである。
プレゼントを贈る上では、「誰がもらっても嬉しい本ということで、誰もが綺麗だなぁと直感的に感じられる作品集を選んでみました」と、商品のセレクトにご協力してくださった「NADiff a/p/a/r/t」の宮下さん。
No.4
アートに興味がある人にも、これから学ぶ人にも
スージー・ホッジ
『世界をゆるがしたアート 〜クールベからバンクシーまで、タブーを打ち破った挑戦者たち〜』
グローバル企業が幹部候補を著名なアートスクールに送ったりするように、近年アートはビジネスパーソンの必修科目となりつつある。とはいえイヤイヤ見るものでもなく、しかし馴染みがなければどこから勉強すれば良いのやら、と悩んでしまうのもまた事実。現代美術史をわかりやすく紐解いてくれるこの一冊は、これから学ぶ方の入門書として最適だ。
1850年以降に制作され、美術史を塗り変えてしまうほど衝撃的だった50のアート作品を取り上げている。現代アートの重要トピックが、歴史上の出来事とあわせて紹介され、制作の背景や時代に投げかけた影響まで含めて丁寧に解説されているのでわかりやすい。
アートへの導入書としても最適であるし、玄人が復習的にその作品を理解するにも適している。アートを遍く楽しみたい人に贈ってみて。
No.5
お子さんがお正月に楽しめるアイテム
加賀美健『くっつけてみよう』
「実家帰れ」「ミルクマン」など、シニカルでジョークの効いた作風が国内外で人気の現代美術作家・加賀美健。
同氏が初挑戦した絵本『くっつけてみよう』は、リンゴとメガネ、ネコと車、サメと歯ブラシ…のような具合で、全然ちがうものを「くっつけて」みることで、空想の生き物や物体を続々と誕生させていく。
決められごとがたくさん溢れる現実世界で生きるのではなく、そこから逸脱していく自由さや高揚感はまさに加賀美ワールドの真骨頂と言えるだろう。絵本というフォーマットでありながら、それを悠々と飛び越える独創的な世界観は、子どもから大人まで引き込まれること間違いなし。お世話になっている方のお子さんへのプレゼントにどうぞ。
No.6
ユーモアたっぷりのキッズ向けプレゼント
大竹伸朗 ニューシャネルTシャツ(キッズサイズ)
現代日本を代表するアーティストである大竹伸朗のアートワークが模されたユーモラスなTシャツ。発売以来ロングセラーを記録しているアイテムだけに、街なかでみたことがある人も少なくないだろう。だが、意外にもキッズサイズの存在は盲点だったのではないだろうか?
キッズサイズの方が、独特のタイポがボディに対してしっかりと入る面積が大きいため、よりインパクトがありチャーミングにみえそうだ。2023年2月まで東京国立近代美術館にて「大竹伸朗展」が開催中なので、タイミングもぴったり。
大竹氏の作品世界はどれも強烈で、圧倒されてしまうようなものが多いが、そのニュアンスを感じさせつつも、ほどよく力の抜けたデザインのプリントTシャツ。お子さんが、幼心にもアートに目覚める契機となりそう。
番外編
NADiff オリジナルラッピング
最後に。ギフトに欠かせないものといえば、ラッピングだ。「NADiff」では、ロゴが斜めにあしらわれたスタイリッシュな包装紙で商品を包んでくれる。渡す相手を選ばない装飾なので、もしラッピングに困ったらお店でラッピングまでお願いしてみるのも手だ。素敵なギフトになるだろう。
***
気の利いたアイテムや捻りの効いたアイテムが豊富に揃うギャラリーショップは、ギフトにもちょうどいい商品が数多く並んでいる。お土産やプレゼント選びに困った時こそ、選ぶのも楽しい、もらうのも嬉しい、ユニークなギフトを探しに足を運んでみてはいかがだろうか。
少しわかりにくい場所に立地する「NADiff a/p/a/r/t」だが、Google Mapを参考になんとか辿り着いてほしい。恵比寿の街を散策しながら、大切な誰かへの贈り物をみつける休日なんていうのも良さそうだ。
<NADiff a/p/a/r/t |ナディッフ 本店>
コンテンポラリーアート、フォトに関する国内外の書籍を中心に、アートグッズやマルチプルなども取り扱うブックショップ。インストアで行うイベントや、併設のNADiff Galleryでの企画展開催など、商品の販売に留まらない情報発信を様々な取り組みで行っている。
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
WEBサイト http://www.nadiff.com/?page_id=152
TEL. 03-3446-4977
OPEN 13:00 – 19:00
定休日:月~水
※年末年始休業:2022年12月26日(月)~ 2023年1月4日(水)