ギフト・コレクション #2

アンティークショップで自分へのギフトを探す【後編】GENIO ANTICA

May 31st,2023
おいしい飲食店が点在する街、というイメージが強い恵比寿ですが、ゆっくり散歩をしていると、インテリアや雑貨店、セレクトショップなど、個人で経営されているような小さいけれど魅力的なショップが多いことに気づきます。雑居ビルの一室や路地裏など、「こんなところに!?」という発見や驚きがあることも恵比寿という街を歩く楽しみの一つ。

今回は、そんな恵比寿の街に数あるお店の中からアンティークショップに注目。イギリスやフランスなど、海外のアンティーク雑貨を買い付けて販売されている個人経営のお店が実は恵比寿に数多くあることは意外と知られていないかもしれません。

「ギフト・コレクション」第二回では、漫画家の方がオーナーのお店や、1980年代から経営されている老舗店のアンティークショップなど、魅力的なお店を2軒ピックアップし、ギフトにぴったりな素敵なアイテムをご紹介します。
Text : Kana Yokota        Photo : BAUM LTD.   Edit & Design : BAUM LTD.
Text : Kana Yokota
Photo : BAUM LTD.
 Edit & Design : BAUM LTD.

1985年開業のこちらはイギリスのアンティークを扱う「ジェニオ アンティカ」。恵比寿西エリアにあり、恵比寿駅からは徒歩5分程度の場所にあります。看板の上にいる猫に目が止まりますが、実は置物で、昔から恵比寿の街の人々に愛されている看板猫のようです。

以前飼っていたトラ猫をモデルにしてアーティストでもある店主の南雲(なぐも)修さんが手づくり。これまでに一度“猫さらい”にあってしまったそうで、現在は2代目とのこと。

赤い扉を開くと、そこには所狭しとぎっしり雑貨が並びます。コップやお皿、ジュエリー、おもちゃ、本、パブのタオル、ステッカー、カメラ……。小さな雑貨がたくさんあり、まさに海外の蚤の市に訪れたかのような錯覚に陥ります。

時間を経てきた古い物にしかない独特の風合いが好きで、40年程前にまだお洒落なお店があまりなかった恵比寿の地で開業。当初はイギリス以外のヨーロッパのものや日本の古い雑貨なども扱っていたそうですが、イギリスの1930年〜1970年代の頃に見られる人の温もりにあふれた柔らかい存在感のある品々に惹かれて、これらを多く取扱うようになったそうです。

「主人は小さなガラクタに目がないので、気づけばこんな状態に(笑)。でも地盤がいいのか、地震があってもモノが落ちることはほとんどなく、模様替えも大変なので開業当時からディスプレイ棚などの什器も変えていないんですよ。もうどこに何があるか把握しきれないですが、そういった“掘り出し物を見つける楽しさ”があるとお客様には言っていただけるので、マイペースにやっています」。と南雲さんのご夫人。近年店に立つのはもっぱらご夫人とのことですが、イギリスへの買い付けはご主人が担当されているそうです。

レジに向かって左手のガラスケースの中でひときわ目立っているのが薄ピンクの英国製ティーセット。優しい色合いとフェミニンなデザインで人気の名陶、スージー・クーパーです。1980年代、バブルの始まりの時期に大ブームとなったブランドで、当時は飛ぶように売れたそうです。写真は1920年代のもので、10万円以上する高価なモノですが、器好きは思わず見惚れてしまう名品です。

とはいえ、高価なモノはこの陶器くらいで、ほかは数百円〜数千円と、リーズナブルなアイテムばかりで驚きます。「どうしてこんなに安くされているのですか?」と尋ねると、「海外の蚤の市に行くと、素敵な商品がびっくりするくらいリーズナブルでワクワクしませんか? あのワクワク感をこのお店でも味わってほしいと思っているので、実は仕入れ値とそんなに変えていないんですよ」

そんなご夫妻の優しい想いが詰まった「ジェニオ アンティカ」は、本当にイギリスの街にある雑貨店のようでもあり、ご主人が海外で見つけたかわいいもの、素敵なものをコレクションしているお部屋にお邪魔している気分になります。

ドールハウス

数ある商品のなかから編集部オススメギフトをピックアップするのはひと苦労でしたが、厳選していくつかご紹介します。

No.1

ペールグリーンが美しいコーヒーセットで朝食を

ミントンのコーヒーセット

ミントンコーヒーポット 25,000円、クルーエット9,800円 、トーストスタンド  6,800円、カップ 8,500円〜

ペールグリーンとアイボリー、シンプルなフォルムにさりげないエッジ飾りがロマンティックなアールデコの逸品、イギリスの老舗食器メーカー、ミントンの「MINTON Solano Ware」。バックスタンプにはこのシリーズのデザイナー、John Wadsworthの名も入っています。コンディションの良いセットものはかなり希少だそうですが、その中でも特にクルーエット(ソルト&ペッパーとマスタードのセット)やトーストスタンドはとても珍しいそうです。美しいカップにコーヒーを注いでおいしいパンとともにいただくと優雅な朝が過ごせそうです。

No.2

宝石に込められた物語を想像する楽しさを味わう

アンティークジュエリー

エメラルドのリング 8,800円

指輪やイヤリングなど、店内にはジュエリーもたくさん。数千円で購入できるので、宝探しのような感覚で自分に似合う1点を見つけるのがおすすめです。写真のリングはエメラルドですが、沢山スモークが入っているので純度は低いですが、歴史の重みを感じる風合いが魅力です。

No.3

ころんとしたフォルムと花柄が可愛い

アーサーウッドのシュガーポット

シュガーポット 5,800円

取材時に真っ先に目が止まったのがアーサーウッド社のシュガーポット。ピンクのような、オレンジのような、優しいペールトーンと花柄模様が素敵です。アーサーウッドは1800年後期からティーポットを中心に陶器を製造していたメーカーで、現在でも、レイウェア社の管理のもと、ブランド名は存続しているそうです。

No.4

シックな雰囲気が魅力の卓上カレンダー

真鍮製のカレンダー

真鍮カレンダー 4,500円〜

飾っておくだけでオブジェのようなアンティークの卓上カレンダー。つまみを回すと日付を変えることができ、現在でも問題なく使うことができます。「ジェニオ アンティカ」でも人気アイテムだそうで、男性や年配の方へのギフトにも喜ばれそうです。

No.5

手づくりの温もりを感じるレトロ人形

アンティーク生地のドール

各 1,200円

アンティークの生地と人形用の型紙を使い、現代の作家が製作した人形。レトロ感のある洋服とユーモラスな表情が愛らしく、ギフトとして大人にも子どもにも喜ばれそう。

No.6

英国王室好き垂涎アイテム!

コロネーショングッズ

写真左 3,900円 写真右 9,800円

先日のチャールズ3世の戴冠式もあり、英国王室グッズがにわかに注目を集めているそうです。左はエリザベス女王のコロネーションを記念したグラス。右はヴィクトリア女王時代のコロネーションを記念したグラスです。いずれも希少価値が高いとのことで、使うのはもったいないですが、飾り棚があるご家庭への贈り物などにも最適ではないでしょうか?

ボンボニエール 18,000円

こちらは、チャールズ皇太子とダイアナ妃のロイヤルウェディングの際に製作されたボンボニエール(砂糖菓子入れ)です。純銀製で蓋には金製のプリンスオブウェールズ紋章が取り付けられ、底には「Charles-Diana」「29th July 1981」の刻印があります。また、蓋裏と底には純銀のホールマーク入り。いわくつきの2人のアイテムですが、希少価値は高いようです。

***

いかがでしたか? ほかにも欲しくなるアイテムが満載で、ここでは紹介しきれないほどだったので、ぜひ実際にお店を訪れて自分だけの「宝物」を見つけてみてはいかがでしょうか? 

最近ではイギリスのアンティークフェアの数も減り、素敵なアンティークアイテムを探そうと思っても昔ほどは出回っていないのが現状だと言います。だからこそ、これだと思うものに出会ったら、その日が運命だと思って、手に入れることを強くおすすめします。

今回ご紹介した二軒以外にも恵比寿にはたくさんアンティークショップがあるので、さまざまな国の古き良きモノを手に取り、味わうという一日をつくってみるのも良いかもしれません。ぜひ新緑の頃の恵比寿散歩を楽しんでください。

<GENIO ANTICA>

〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西2-6-10 ユニオン第二マンション1F
営業時間:12:00-18:30
定休日:火曜日
TEL. 03-3496-3317
https://www.genioantica.com/

アンティークショップで自分へのギフトを探す 【前編】Torico-loreはこちら

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