帰りの一皿 Vol.2

1日の終わりに、エネルギーをもらえる場所へ。「FooTNiK 恵比寿店」

October 27th,2023
仕事が終わったあと、ちょっと寄り道をして腹ごしらえをしたくなることはないでしょうか? 目的はひとりの気分転換や、同僚や友だちとの集まりなどそれぞれだったとしても、仕事帰りにどこかに寄って食べて帰る特別感は、多くの人が経験しているはず。

「帰りの一皿」では、恵比寿に勤めるワーカーが、どんな時に、どんな気持ちで”あの味”を求めて店に立ち寄るのかを知るべく、各回それぞれの帰り道を追っていきます。

Vol.2に登場いただくのは、恵比寿のヘアサロンで働く石神夏美さんと、青山の事務所でアートディレクターとして働くパートナーの石神正人さん。恵比寿に勤め出してから10年という夏美さんは、3年前に正人さんと結婚してからは2人で仕事帰りに待ち合わせて恵比寿で食事をすることが増えたといいます。

この日訪れたのは、恵比寿の街の老舗イングリッシュパブ「FooTNiK(フットニック)」。サッカー代表親善試合 日本対チュニジア戦を観戦すべくやってきました。
Text : Kana Yokota(BAUM LTD.)        Photo : Ukyo Koreeda         Edit & Design : BAUM LTD.
Text : Kana Yokota(BAUM LTD.)
Photo : Ukyo Koreeda
Edit & Design : BAUM LTD.

「FooTNiK」は老舗のブリティッシュ・パブとして知られる恵比寿の名店です。店名の「フットニック(FooTNiK)」はFootball=サッカーの“foot”と「~を愛する者」という意味する“nik”を組み合わせたものだそうで、サッカーとイギリスが大好きだというオーナーの思いが込められているのだそう。恵比寿にオープンしたのは2001年。大崎にも姉妹店があります。

夏美さん

「FooTNiK」は夫が連れてきてくれたことがきっかけだったのですが、想像していたよりも敷居が低いというか、女性1人で飲みに来ているお客さんもいて、すごく居心地が良いんです。

正人さん

僕はサッカー好きなので、独身の頃から友達とフラッと飲みに来たり、妻の仕事が終わるのを待つ間にサッカー観戦しながら1〜2杯ビールを飲むという使い方をしています。

恵比寿のヘアサロン「cloe」でスタイリストとして働く夏美さんご夫婦の自宅は品川区にあり、2人で待ち合わせて外で夕食を食べるのはもっぱら恵比寿だと言います。今日はそんな2人がたまに訪れるという「FooTNiK」へ。

パートナーの正人さんは仕事でもサッカー関係のWEBサイトのデザインを手がけるほど大のサッカー好き。夏美さんも学生時代はバスケットボール部で活躍していたということで、2人ともスポーツ観戦は大好きだと言います。取材日は、代表親善試合 日本対チュニジア戦が開催された10月中旬。キックオフ前ですが、まずは乾杯!

夏美さん

ヘアスタイリストとアートディレクターという仕事柄、2人とも夜遅くなることが多いのですが、恵比寿は“夜の街”といってもいいくらい活気があって、食事をする場所に困らないのが魅力ですね。夫が良く私を待っていてくれるのが「FooTNiK」なのですが、何度かサッカー日本代表戦をライブ中継している日に飲みに来て、すごく楽しかったんですよ。仕事モードからスッとオフモードに切り替えられるというか、疲れた後でもまた元気がもらえるって素敵だなって。

オーダーしたのはサッポロとヱビスビール。「場所柄、ということもあるのですが、やっぱりサッポロビールが一番美味しいとほとんどのお客さんが言ってくださいます。」とスタッフの岡さん。キャッシュオンスタイルなので、カウンター周りも常に賑わっている。

石神夫妻がお気に入りのメニューは、フィッシュ&チップスとナチョス、そしてイギリス人シェフお手製のイングリッシュソーセージ。ほかにもサラダやピザなどフードメニューが充実しているので、大人数でのパーティなどの需要も多いそうです。

「FooTNiK」名物のフィッシュ&チップス。伝統的なビールの衣で白身魚のフィレをカラッと揚げた本場のパブ感満載の一皿。
トルティーヤチップスの上にチリコンカンと自家製チーズソースとサワークリームをのせたナチョスはあとをひく美味しさ。
注文時にソーセージの種類が選べるイングリッシュソーセージ。プチッとはじけるジューシーさにビールも進みます。

正人さん

「FooTNiK」に来たら必ず注文する3品です。めちゃくちゃボリュームがあるので1人だと食べきれないんですけどね(笑)。

夏美さん

パッと見た感じはジャンク感があるけれど、ちゃんと美味しいところが人気の理由なんでしょうね。家では作らないメニューだから新鮮でもあります。

今年結婚3年目を迎えた石神夫妻。食事をしながらどんな話をするのか尋ねたところ、意外にも2人で仕事の話はほとんどしないと教えてくれました。

夏美さん

基本的に夫とは仕事の話をしないようにしています。もちろん聞いて欲しいことがあるときは話しますけどね。2人で旅行に行くことも多いので、そのプランを立てたり、思い出話をしたり、、、2人の時間はできるだけ楽しく、笑顔でいられるような話題を心がけています。特にサッカーは夫が詳しいので、こういう場所に来ると選手の情報を教えてもらいながら観戦できて楽しいんですよ(笑)。

正人さん

お互い専門職だからか、僕も込み入った仕事の話はしないですね。僕の友達が彼女のヘアサロンのお客さんなので、「今日来てくれたよ」とかそんな話くらいかな。

19時、いよいよキックオフの時間です。店内奥の大きなスクリーンの前は予約席で、もくもくと真剣に試合を見守るファンたちですぐに埋め尽くされています。

試合開始後、すぐに店全体も満席になるのですが、それでも次から次へとお客さんがやってくるのにも驚きです。今年はWBCやラグビーのワールドカップもあったので、試合のたびに「FooTNiK」は大盛況。サッカーだけでなく、日本のスポーツ界全体の盛り上がりを感じさせてくれる場所です。

楽しくおしゃべりをしていると、日本が先制点を取りました!
感激のあまり二杯目のビールをグビッ。

そして、後半戦でもう1点。日本が見事チュニジアを制しました。点をとるたびに店中のお客さんが歓喜の声をあげて抱き合い、ハイタッチで祝杯する。そんなハッピーな空間にいると、夏美さんの言うように、本当にエネルギーをもらえるから不思議です。

夏美さん

最高ですね! お客さん全員と一体になれるこの感じが職場のある恵比寿で味わえるのが嬉しいです。

正人さん

本当はスタジアムに行って観戦するのが最高なんだけど、こういう場所があるとスタジアムの雰囲気を擬似体験できるというか、忙しい人にとってもありがたい場所ですよね。

友人やグループで盛り上がるお客さん。奇跡の瞬間を見逃さないようにとの配慮から、なんと男性トイレにもテレビが設置されている。

2人にとって恵比寿は、仕事をする場所であり、大切な人と食事を楽しむ場所であり、たくさんの時間を過ごしてきた街。馴れ合った関係でも、ネガティブな話ではなく、ポジティブな話をすることを心がけたり、2人が楽しくいられる場所を選んだり。そんな素敵な夫婦の時間に少しだけお邪魔をした今回、恵比寿の街には、働く人の数だけドラマがあるのだと、さらにこの街が愛おしくなる時間でした。

***

「FooTNiK」

フットボールパブとして東京でもっとも古い歴史を持つ「FooTNiK」。高田馬場に一号店が誕生したのは1996年、恵比寿店は2001年に2号店としてオープン。「お洒落なショップやレストランが立ち並ぶ国際色豊かな街、恵比寿に、外国人と日本人が一緒になってサッカーを観戦できる、エキサイティングな場所を作りたい」。オーナーのそんな願いを実現したのがこの場所。客層は外国人が3割、日本人が7割程度で、コロナ禍を経てまた賑わいが戻ってきたことが嬉しいと話す。2022年からは、本格的なヴィーガン料理、ベジタリアン料理が楽しめるお店としても注目されており、イギリス人シェフが腕を振るった美味しい料理はどれもビールと好相性。女性1人でも入りやすい雰囲気も魅力。決勝戦など確実に席を確保したい人のためのチャージプランも用意。

住所
東京都渋谷区恵比寿1-11-2アサヒビル1F

営業時間
月〜日 15:00〜0:30
休みなし

TEL:03-5795-0144

https://footnik.com

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